2013年7月30日火曜日

定禅寺通りの街路樹(2) ピマラヤスギ


勾当台公園で撮影しました。白い卵状のものはヒマラヤスギのコーン(マツカサ)だと思います。1年かけて熟するようです。勾当台公園、西公園、錦町公園など、定禅寺通り近辺の公園にはヒマラヤスギが何本も植栽されています。中にはシンボルツリーと呼べるくらいの大木もあります。

 ヒマラヤスギ(学名:Cedrus deodara)は、マツ科ヒマラヤスギ属の常緑針葉樹で、ヒマラヤ山脈西部の標高1500mから3200mの地域が原産地です。高さは40m-50mにもなり、時には60mにまで成長し、幹の直径は3mに達することがあります。ヒマラヤスギは園芸植物として広く利用され、公園や大きな庭園に植樹されています。

 ヒマラヤスギ属(ヒマラヤスギぞく、学名:Cedrus)は、マツ目マツ科の属の1で、よく似た円錐形の形態をとるモミ属の近縁種です。ヒマラヤスギ属は世界に以下の4種が生育しています。

Cedrus atlantica アトラスシダー - アフリカ北部に分布。
Cedrus breviforia キプロスシダー - キプロス島固有種。
Cedrus deodara ヒマラヤスギ - ヒマラヤ西部に分布。
Cedrus libani レバノンスギ - トルコ、レバノンからモロッコにかけての地中海地方の山に分布。

 アロマテラピーで使われるシダーウッドは、一般的にはアトラスシダーの木部から採油されます。英国王立園芸協会のハーブ大百科には以下のように記載されています。
<利用部位>木、オイル
<特徴>上質の防腐、殺菌性のハーブ。循環器系、呼吸器系の刺激、神経の鎮静作用があり、この香りは虫を追い払う。

                              記 阿部俊暢
参考資料
*英国王立園芸協会 ハーブ大百科

2013年7月26日金曜日

定禅寺通りの街路樹 タブノキ


勾当台公園で撮影しました。芝生に沿ってたくさん植栽されているタブノキの実です。今は緑ですが、熟すと黒紫色になるようです。
 タブノキ(椨 Machilus thunbergii)とはクスノキ科タブノキ属の常緑高木です。本州、四国、九州、朝鮮半島南部、中国の山東、江蘇、浙江などに分布しています。日本では、照葉樹林の代表的樹種のひとつで、各地の神社の「鎮守の森」によく大木として育っています。街路樹としてもおなじみで、勾当台公園公園付近の街路樹としてたくさん植えられています。イヌグス・タマグス・ヤマグスとも称されています。
 ”別名のイヌグスは「犬楠」で、クスノキに似るが香りが乏しく材もおとるとの意味。”と、野外植物民俗事苑には記載されています。
 
 枝葉には粘液が多く、乾かして粉にするとタブ粉が得られます。タブ粉は線香や蚊取線香の材料の1つ(粘結材)として用いられていおり、手作りのお香の材料としてネット通販で手にはいります。販売されているものは中国産が多いようです。
 
 薬用については、牧野和漢薬草大図鑑に以下の記載があります。
【薬用部分】根皮および樹皮(紅楠皮:コウナンヒ)
【薬効と薬理】根および樹皮は捻挫傷筋を治すのに用いられる。樹皮の煎液は吐瀉して止まらないものを治すのに用いられる。また、転筋足踵(筋をねじって足がはれる)を治すのにもちいられる。

                           記 阿部俊暢
*参考資料
 牧野和漢薬草大図鑑
 野外植物民俗事苑

2013年7月23日火曜日

7月の勾当台公園 アジザイの花


 勾当台公園のアジサイです。関東以西は既に梅雨明けで猛暑が続いているようですが、ここ宮城はまだアジサイが満開です。

  アジサイ(紫陽花、学名 Hydrangea)はアジサイ科アジサイ属の植物の総称です。学名は「水の容器」という意味で、そのまま「ヒドランジア」あるいは「ハイドランジア」ということもあります。一般的に植えられている球状のアジサイはセイヨウアジサイ(ヒメアジサイ・テマリ咲きアジサイは別)であり、日本原産のガクアジサイ(Hydrangea macrophylla)を改良した園芸品種です。

  アジサイ属は、落葉と常緑の灌木、小木約100種類が中国、日本、ヒマラヤ山脈、インドネシア、南北アメリカに分布しています。多くのアジサイは花を鑑賞するために栽培されています。西洋では、北米原産のHydrangea arborescens(ワイルドヒドランジア)は北米先住民の薬用ハーブで、根が尿路結石の治療薬として利用されてきました。日本では、日本原産のガクアジサイ(Hydrangea macrophylla)の変種のアマチャ( Hydrangea macrophylla var. thunbergii)の葉がお茶として利用されてきました。
 牧野和漢薬草大図鑑には、アジサイの花と葉を紫陽花といい解熱剤として利用すると記載されています。
                               記 阿部俊暢

参考資料
*英国王立園芸協会ハーブ大百科
*牧野わかn

2013年7月19日金曜日

道端の薬草(11) ツユクサ



定禅寺通りの側の空地で撮影しました。普段は雑草して見慣れているツユクサですが、花の少ないこの時期にあらためてみるとなかなか味のある植物です。
 ツユクサ(Commelina communis)はツユクサ科ツユクサ属の一年生植物です。北海道から九州、沖縄および朝鮮半島、中国、サハリン、シベリア、アムール、コーカサスに分布し、丘陵地の畑地、草原、荒地などに普通に見られます。草丈は15〜20cm。茎は基部で伏臥分岐し、上部は斜状します。葉は2列互生し、卵状皮針形で5〜7cm。花期は6月〜9月で、広芯形の苞の中に青紫色の花を一個ずつつけます。
 牧野和漢薬草大図鑑には、以下のように記載されています。
【薬用部分】全草を鴨跖草(オウセキソウ)。開花時に全草を採取し、水洗い後日干しにする。
【薬効と薬理】薬理効果についての詳細は不明であるが、民間的に、解熱、消炎、止瀉などの作用があるとされ、下痢止め、解熱、水腫、脚気、利尿、こしけ、鼻出血などにもちいられる。
【その他】また、5〜8月までの柔らかい葉は、ひたしものやサラダにして食用になる。
  鴨跖草はネット通販で手に入ります。
 ツユクサはたくさんの方言があります。野外民俗事苑には、採録された方言は280を超えると記載されています。その主なものは、アイクサ(大分)、アオバナ(京都、滋賀)、インキバナ(山形•静岡)など多数です。ここ宮城ではペチペチグサ•ペチペチバナというそうですが知りませんでした。あなたの地方ではなんというでしょうか?

                           記  阿部俊暢

参考資料
*牧野和漢薬草大図鑑
*野外植物民俗事苑  

2013年7月16日火曜日

初夏の定禅寺通り サンゴジュ


 勾当台公園の志賀潔の胸像脇で撮影しました。サンゴジュだと思います。昨年の秋にその赤い実をご紹介しましたが、今回はその花です。
サンゴジュ(珊瑚樹、学名:Viburnum odoratissimum var. awabuki または Viburnum awabuki)はスイカズラ科ガマズミ属の常緑高木です。日本では千葉県以西、東南アジアまで自生しています。初夏に円錐花序を出して小型の花を多数開花し、果実が秋に赤く熟します。和名は花序の枝と果実が赤くなる姿をサンゴに見立てたことから名付けられたといわれています。
 厚く水分の多い葉や枝が火災の延焼防止に役立つともいわれ、庭木や生け垣、防風林としてもよく植栽されています。
 同属のガマズミの実は薬用種として用いられ、牧野和漢薬草大図鑑にも記載がありますが、サンゴジュの実はもっぱら観賞用です。
                          記 阿部俊暢




2013年7月12日金曜日

定禅寺通りの街路樹(1) マテバシイ


 定禅寺通りと交差する勾当台通り(東二番町通り)で撮影しました。マテバシイだと思います。

マテバシイ(学名 Lithocarpus edulis:同義語 Pasania edulis)は、ブナ科マテバシイ属の常緑高木です。日本固有種で本州、四国、九州、沖縄に分布しています。街路樹、公園樹、防風などに植栽されています。花期は6月で、雄花序、雌花序ともに長さ5〜9cmです。果実は堅果で翌年の秋に熟します。
 野外植物民俗事苑には、”果実は渋抜きしなくても食べられる”と記載されています。

                           記 阿部俊暢

2013年7月9日火曜日

道端の薬草(10) コヒルガオ


 定禅寺通りの道路脇の植栽に一面に絡みついて咲いていました。花が小振りなことおよび葉の形よりコヒルガオと思われます。
 コヒルガオ(学名:Calystegia hederacea Wall)は、ヒルガオ科ヒルガオ属のつる性の多年草です。本州、四国、九州および朝鮮、中国、ウスリー、東南アジア、インドに分布し、荒地、道端、渓流沿いなどに生えます。
 生薬名を打椀花といい、根、全草および花を薬用とします。牧野和漢薬草大図鑑には以下に記載があります。
【薬効】根または全草は、月経不順、小便不利、こしけ、乳汁不足、淋病などに用いられ、花は虫歯の予防に用いられる。
 野外植物民俗事苑には、ヒルガオと同じように利用でき、春の若芽を茹でて水にさらし、浸し物、和え物などととするほか、飯に混ぜて食べ、地下茎は粉末にして餅にして食べるとの記載がありました。
                               記 阿部俊暢

参考資料
*牧野和漢薬草大図鑑
*野外植物民俗事苑    
    




2013年7月5日金曜日

初夏の定禅寺通り(4) セイヨウシナノキ

セイヨウシナノキ 撮影場所:勾当台公園


 勾当台公園の花壇脇の芝生の中のシンボルツリーです。花が満開でした。以前にもご紹介しましたが、掲示板にはセイヨウシナノキと記載してありました。
 セイヨウシナノキ(西洋菩提樹:Tilia ×europaea )はシナノキ科シナノキ属の落葉高木です。シナノキ属の植物は交配しやすく、セイヨウシナノキは、コバノシナノキ Tilia cordata と ナツボダイジュ Tilia platyphyllos の自然交配種であるとされています。
 セイヨウシナノキの木はほとんどどのような環境にも耐え、短く刈り込んでも平気なので、街路樹として植えられています。ドイツの首都・ベルリンの大通りであるウンター・デン・リンデンの両側に街路樹として植えられているのは有名です。薬用ハーブのリンデンは、このセイヨウシナノキ、コバノシナノキ、ナツボダイジュなどをさします。
 シナノキ属は約45種類の落葉高木が北半球の温帯地域に分布しています。日本の近縁種には、シナノキ(Tilia japonica)があり、セイヨウシナノキの代用として利用されます。
 メデイカルハーブ検定テキストよりリンデンのプロフィールを以下に記しておきます。
リンデン(セイヨウシナノキ)
学名:Tilia × europaea
和名:西洋ボダイジュ(西洋シナノキ)
使用部位:花部、葉部
主要成分:フラボノイド配糖体、粘液質、タンニン、フェノール酸、精油
作用:発汗、利尿、鎮静。
 *メデイカルハーブ検定テキストより

記 阿部俊暢  
 

2013年7月3日水曜日

道端の薬草(9) ハハコグサ?



 定禅寺通りの裏通りの植え込みで撮影しました。ちょっとみづらいですがハハコグサだと思います。
ハハコグサ(母子草、学名: Gnaphalium affine)は、キク科ハハコグサ属の越年草です。北海道から沖縄および東アジアに分布し、原野や人の家の近くに普通に見られます。草丈は20cm〜30cm。茎や葉にはふわふわする感じの白軟毛があります。春から夏にかけて、茎の頂に散房状に淡黄色の小頭花が密集して咲かせます。
 春の七草の1つんの「御形(ごぎょう、おぎょう)」で、若芽を摘んできてよくアク抜きして食べたり、餅に入れたりもします。昔はこの草入れた「母子餅」で3月3日の節句を祝ったと、貝原益軒も記しています。
 ハハコグサの全草を鼠麹草(そきくそう)といい、水洗いの後乾燥させて薬用として使用します。牧野和漢薬草大図鑑には、”主に鎮咳、去痰に有効で、ほかに利尿作用などがある”と記載されています。

                             記 阿部俊暢
参考資料
*牧野和漢薬草大図鑑
*野外植物民俗事苑