2013年6月29日土曜日

初夏の定禅寺通り(3) キンシバイ?


撮影場所:仙台市勾当台公園 2013年6月19日 撮影者 阿部俊暢

 キンシバイ(金糸梅、学名:Hypericum patulum)はオトギリソウ科オトギリソウ属の半落葉小低木です。中国中部•西南部、台湾原産で、日本には1760年頃渡来したといわれています。近年、公園や庭園などに植栽されており、一部では野生化しています。花が大きいHypericum patulum cv. Hidcote という園芸品種であることが多いとのことですが、多分この画像もこれであろうと思われます。
 以前にもご紹介しましたが、ヒペリカムは、オトギリソウ属のラテン名であり、必ずしも本種とは限りません。オトギリソウ(弟切草)は、古くから葉や茎のもみ汁が、薬用として止血、切り傷、打ち身、神経痛等に効くとして使用されてきました。近縁種のセイヨウオトギリソウ(セントジョーンズワート 学名:Hypericum perforatum)は効うつのハーブとして有名で、近年ハーブテイーやサプリがたくさん販売されています。
 
 薬用にも使用され、牧野和漢薬草大図鑑には以下の記載があります。
【薬用部分】全草:芒種花(ボウシュカ)
【薬効】解毒、利尿の効果があり、肝炎、咳の治療などに用いられ、12〜15gを煎じて内服する。外用については塗布するか、粉末にして散布する。口内炎、細菌性下痢の治療に10g〜30gを煎じて服用する。鼻血には、新鮮な葉をつぶして、鼻につめる。骨折、切り傷、イヌなどの咬傷の治療は、煎液で洗うとともに、つきつぶして患部に塗布する。

                             記 阿部俊暢

2013年6月26日水曜日

道端の薬草(8)ドクダミ



 定禅寺通の裏側の駐車場で撮影しました。
 ドクダミ(蕺草、学名:Houttuynia cordata)はドクダミ科ドクダミ属の多年草です。本州、四国、九州、沖縄および台湾、中国、ヒマラヤ、ジャワに分布し、山野や庭などに普通に見られます。 ドクタミは、古くから民衆に親しまれ暮らしとの関係も深いため、240以上もの方言があるといわれています。その代表的なものは、イシャコロシ(大分)、ウマクワズ(高地)、ジゴクソバ(千葉•茨城•福島•秋田)、チョウジャグサ(佐渡)ドクダメ(長野•岡山)など様々です。少し湿り気のある所を好んで至る所にはえ、全草に独特の悪臭があります。丈は20〜30cm。夏の始めに茎の頂に白色で4枚の花弁状の苞を付け、花のように見えます。
 古くから民間薬として使用され、健康茶としても親しまれています。開花期の地上部を乾燥させたものは生薬名十薬(じゅうやく、重薬とも書く)といい、日本薬局方にも収録されています。十薬は日本の代表的な民族薬の一つで(和薬ともいう)、この名は10種類の薬に匹敵する効き目があることに由来するとされています。
 牧野和漢薬草大図鑑には、”ドクダミの水浸液は高血圧予防に役立ち、また煎剤は利尿作用がある。白癬菌やブドウ球菌にも有効で、抗菌力や制菌力があるとされている。解熱、解毒、消炎薬として用いられる。”と記載されています。 
 以前のブログで、”ベトナム料理ではザウゾプカー(rau giấp cá)またはザウジエプカー(rau diếp cá)と称し主要な香草として重視されている。”とご紹介しましたが、日本でも食材として利用されているようです。野外植物民俗事苑には”若いものは全体が、天ぷらや、茹でて和え物、水に曝して酢みそ和えなどとして食べる。火を通すと臭みは消える。”と記載されています。インターネットを検索するとドクタミ料理の体験紀を読む事ができます。     

                                記 阿部俊暢

参考資料
*最新薬用植物学 
*牧野和漢薬草大図鑑
*野外植物民俗事苑 

 

2013年6月22日土曜日

初夏の定禅寺通り(2) ムラサキセンダイハギ?



 勾当台公園の噴水脇のロックガーデンで撮影しました。多分ムラサキセンダイハギと思われます。センダイハギの名がありますが、千代萩(同じく5、6月に黄色い花をつけます)とは別属です。仙台とは関係はないようです。

 ムラサキセンダイハギ(Baptisia australis)はマメ科ムラサキセンダイハギ属の多年草です。原産地は北アメリカで、日本では園芸植物として栽培されていますが、各地で野生化しています。アメリカでは一般的にはブルーワイルドインデインゴまたはニセインデインゴとも呼ばれています。5、6月にきれいな紫色の花をつけます。毎年この周辺でかなりの数が見られます。多分、公園に植えられていたものが野生化したものと思われます。
 
 USDA(アメリカ農務省)の資料によれば、チェロキー属は、自分の服を青色に染めるための染料として使用していました。初期の入植者はこの実践を取り入れました。一般名のニセインディゴは、インドから導入され栽培されていたインディゴではないという意味です。いくつかのインディアンの部族は医療目的のためにそれを使用していました。セージ族は、植物から目薬を作っていました。チェロキー族はお茶にしていたようです。熱いお茶は下剤として。冷たいお茶は吐き気を防ぐために使用されました。粉砕にされた根や熱いお茶は痛みを和らげるために痛い歯につめられました。 インデイアンの子供たちは乾燥したさやと内側の緩いの種子とをガラガラのように使用します。
                           
                           記 阿部俊暢
                        

2013年6月19日水曜日

道端の薬草(7)ギシギシ?




西公園で撮影しました。葉の根元が矢尻型ではなく、丸くハート型なので、スイバではなく多分ギシギシだと思います。
 ギシギシ(Rumex japonicus)はタデ科のギシギシ属の多年草です。日本各地、千島、サハリン、カムチャッカ、朝鮮半島、中国などの温帯から暖帯の原野、道ばたの湿地、水辺nなどに生えます。高さは、40-100cmになり、根もとに生える葉は、長さ10-25cmの長楕円形で長い柄があり、基部がハート形です。花期は、6-8月で緑色で小さい花を輪生させます。
 ギシギシ(Rumex)属は、約200種が温帯北部に広く分布しています。食用や薬用として利用されている種もあります。スイバ(Rumex acetosa)は日本でも野生の新芽を山菜として食用にしますが、ヨーロッパでは近縁種のフレンチソレル(R.scutatus)と共に、生の若葉をサラダ、スープなどにします。ただしシュウ酸を多く含むので、大量に食べると中毒の恐れがあるので注意が必要です。
 
 ギシギシは、近縁種のナガバギシギシ(イエロードック:Rumex cripus)、エゾノギシギシ(Rumex obtusifolius)とともに根を羊蹄根といい薬用にされます。牧野和漢薬草大図鑑には、”強い抗菌作用と凝血作用があり、新鮮な根をたむし、疥癬などの皮膚病に外用する。また、緩下、健胃作用があり、大黄の代用として緩下剤に用いられることもある。”とl記載されています。
                         記 阿部俊暢

参考資料
*牧野和漢薬草大図鑑
*英国王立園芸協会 ハーブ大百科



2013年6月15日土曜日

店頭のハニーサックル


 今年も店頭のハニーサックルの花が開花しました。10年前に日野春ハーブガーデンより取り寄せた、ハニーサックル( ロニセラ)のセロチナ(Lonicera periclymenum 'Serotina')という品種です。
 ハニーサックル(別名:ニオイニンドウ)はスイカズラ科スイカズラ(ロニセラ)属の耐寒性の落葉広葉樹でつる性の植物です。スイカズラ属の植物は、約180種が北半球とメキシコ、フィリピンに分布しています。
 英国王立園芸協会のハーブ大百科には、”ハニーサックル(Lonicera periclymenum)は、薬用ハーブに数えられることもあるが、現在はほとんど使用されていない。去痰、殺菌、利尿作用があって、嘔吐を起こすこともあるが、少量を咳止めに加えると効果がある。”と記載されています。
 日本に分布する同属のスイカズラ(Lonicera japonica)は、葉および茎をニンドウ(忍冬)、花をキンギンカ(金銀花)といい、中国漢方では古くから重要な位置を占めてきました。
                          記 阿部俊暢

参考資料
 *英国王立園芸協会 ハーブ大百科
 *最新薬用植物学
 *牧野和漢薬草大図鑑





2013年6月12日水曜日

道端の薬草(6) オオバコ




 以前にもご紹介したオオバコです。西公園の空地で撮影しました。
 オオバコ(大葉子、Plantago asiatica)はオオバコ科オオバコ属の多年草です。日本各地および千島、サハリン、中国、台湾、東シベリア、マレーシアに分布し、草地にごく普通に見られます。
 オオバコは人の暮らしと密接に関係する植物で方言もたくさんあり、民俗的な事柄もたくさんあります。野外植物民俗事苑には、”葉は食用にもなる。若葉はよく煮て佃煮にしたり肉といっしょに油炒めに

 花期の全草を乾燥したものを車前草(しゃぜんそう)、成熟種子を車前子(しゃぜんし)といい日本薬局方に収録された生薬です。
 牧野和漢薬草大図鑑には、【薬効と薬理】として以下のように記載されています。
”プランタギンは呼吸中枢に作用して呼吸運動を緩慢にして、顕著な鎮咳効果があるほか、分泌神経を興奮させて気管、気管支の分布を増加させる。またカリウム塩による利尿作用もあり、鎮咳、去痰、消炎、利尿薬として用いられる。また最近胃カタル、十二指腸潰瘍、動脈硬化に効果があるとして注目されている。"

 西欧でもさまざまなオオバコ属の植物の葉や種子が薬用に使用されています。
英国王立園芸協会のハーブ大百科には代表的な植物として、上記Plantago asiatica(オオバコ、アジアンプランテーン)、Plantago major(セイヨウオオバコ、オニオオバコ、クレーターブランテーン)、Plantago psyllium(スパニッシュサイリウム、ヘラオオバコ)の3種が記載されており、同様の使用がなされています。

                          記 阿部俊暢

参考資料
*牧野和漢薬草大図鑑
*英国王立園芸協会 ハーブ大百科
*野外植物民俗事苑

2013年6月8日土曜日

道端の薬草(5)ナズナ



 西公園の通路脇で撮影しました。一面に群生していました。
ナズナ(学名:Capsella bursa-pastoris)は、アブラナ科ナズナ属の越年草です。別名ペンペンググサともいいます。日本各地および北半球の温帯一帯に広く分布し、原野、道ばた、田畑、人家などに最も普通に見られます。
 春の七草のひとつで、万葉の時代から大宮人に愛され、年中行事の小正月の七草粥を作るときの歌や鳥追いの唄にも歌われています。早春や秋のロゼット状のものを摘んで浸し物、和え物などやキノコ汁の中に入れたりする山菜です。(
 
 ナズナは生薬名を齊菜(サイサイ)といい民間薬としても利用されています。
 牧野和漢薬草大図鑑には、”齊は民間で止血、消炎、消腫、鎮痛薬として、腹痛、子宮出血、下痢、高血圧症、眼球充血などに用いられる”と記載されています。

 ナズナはまた英名をシェパーズパース(Shepherd's purs)といい、ヨーロッパでも食用および、止血効果のあるハーブとして用いられてきました。
 英国王立園芸協会のハーブ大百科には、”内服、外用共に止血作用があり、特に月経過多、血尿、内痔核、鼻血、外傷などに使用する。”と記載されています。
 また”中国漢方では血液を冷やす作用があるとして、上記と同様の目的の他、高血圧、産後の出血にも使用する”とあります。

                            記 阿部俊暢

参考資料
*牧野和漢薬草大図鑑
*英国王立園芸協会 ハーブ大百科
*野外植物民俗事苑


2013年6月5日水曜日

初夏の定禅寺通り(1) 紫蘭?



 昨年もご紹介いたしましたが、噴水脇の石組みの中で咲いていました。多分シラン(紫蘭)だと思います。

 シラン(紫蘭、学名 Bletilla striata Reichb. fil.)はラン科シラン属の宿根草で、本州中南部、四国、九州、沖縄及び中国に分布しています。野生のものは絶滅危惧種であり、ときおりブログなどでも取り上げられています。しかし、栽培種として広く普及しており、きわめて丈夫な植物なので、半自生可している可能性があります。花木は5月で、花茎を出し、紅紫色の花を3〜7個総状花序つけます。
 根茎(偽球茎)は白及(びゃくきゅう)と呼ばれ、漢方の生薬として使用されています。牧野和漢薬草大図鑑には以下の記載があります。
 ”白及の水浸剤は試験管内でグラム陽性菌、人型結核菌に対して顕著な抑制作用が認められ、小芽胞癬菌にも抑制作用がある。また粘液質は収れん止血、消腫、皮膚及び粘膜保護作用がある。止血、排膿、粘滑、緩和薬として肺結核の喀血、吐血、鼻血などに用いるほか、創傷、やけど、ひび、あかぎれ、悪瘡などに外用する。”

                               記 阿部俊暢

2013年6月4日火曜日

初夏の西公園(1) フジ?


 西公園で撮影しました。初夏の代表的な花です。古くから我々日本人に親しまれた花であり、万葉集ではフジを詠んだ歌が26首あり。
 フジ(藤、学名: Wisteria floribunda)は、マメ科フジ属のつる性落葉低木です。日本固有種で、本州、四国、九州の山地にはえ、しばしば観賞用に植栽されています。
花期は5-7月、花は紫色か白色で花序は長くしだれて20cmから80cmに達します。
 樹皮にできる瘤を藤瘤(トウリュウ)といい民間薬として使用されています。牧野和漢薬草大図鑑には以下の記載があります。
”薬効と薬理:薬理作用およびその効果に関しての詳細は不明だが、民間的に消炎、止瀉などの効果があるとされ、下痢止め、口内炎、歯肉炎、扁桃炎などに用いられる。”
”藤瘤は民間で胃がんに用いられるが、効果は必ずしも明らかでない。”
                          記 阿部俊暢

2013年6月1日土曜日

道端の薬草(4)シロツメクサ

2013年5月22日 仙台市西公園 撮影者:阿部俊暢


 仙台市西公園で撮影しました。あちこちに群生していました。
 シロツメクサ(白詰草、学名:Trifolium repens)は、マメ科シャジクソウ属の多年草です。別名、クローバー、原産地はヨーロッパです。
日本には明治時代以降、家畜の飼料用として導入されたものが野生化した帰化植物です。
 シャジクソウ属(Trifolium)の植物は世界中で約300種類が知られていますが、レッドクローバー(Trifolium pratense)は北ヨーロッパで最も重要なマメ科の飼料植物であり、薬用としても利用されています。

 牧野和漢薬草大図鑑には、薬用部分:全草(三消草:サンショウソウ)として以下の記載があります。
 薬効と薬理:本植物に含まれるイソフラボン類は成長期のラットの子宮に対して、まず興奮作用を示し、ついで子宮重量増加、子宮筋層•内膜を増殖、肥大させた後、抑制効果を現す。薬効としては清熱し、血を清める効能があり、癩病を治す。
 Net上の検索では、中国のWebサイト以外は記載がないため内用を確認することができませんでした。近縁種のレッドクローバーと同様に、含まれているイソフラボン類がフィトエストロゲン(植物女性ホルモン)として作用すると思われます。