2013年5月29日水曜日

道端の薬草(3) ヤブジラミ?


 西公園の道端のフェンス脇に群生していました。近縁種にオヤブジラミ(Torilis scabra)がありますが、花柄の数が多い(5〜10個)ので 多分ヤブジラミだと思います。
ヤブジラミ(藪虱、学名:Torilis japonica)はセリ科ヤブジラミ属の越年草です。日本各地および東アジアからヒマラヤ、シベリア、ヨーロッパに分布し、野原、堤防、道ばたなどに自生しています。茎は直立し、上部は分枝し、高さは30-70cmになり葉とともに毛でおおわれます。花期は5-7月。茎頂か、分枝した先端に白色の小さな花を複散形花序につけます。果実は卵状長楕円形で長さ2.5-3.5mm。果実の刺毛は密につき、先端が鉤状に曲がっています。
 和名の由来は、藪に生え、鉤状に曲がった刺毛によって果実が衣服につきやすいようすをシラミにたとえたものです。
 
 牧野和漢薬草大図鑑には、以下のように記載されています。
薬用部分:成熟果実、和蛇床子(ワジャショウシ)、華南鶴蚤(カナンカクシツ)
薬効:収れん性消炎薬として婦人陰部の陰痒、陰腫などに外用し、強壮薬として陰萎、 てんかん、関節痛などに用いられる。

 蛇床子(ジャショウシ)は、中国ではセリ科のオカゼリ(Cnidium monnieri) の成熟果実を乾燥したものを指し、神農本草経の上品に蛇床子の名で収載されています。日本では代用品として、和蛇床子(ヤブジラミの果実)が用いられます。牧野和漢薬草大図鑑には、”蛇床子は古来婦人病の要薬とされてきたが、男子にも内服薬として用いられ、睾丸を強くする働きがあり、インポテンツを治すという”と記載されています。


参考資料
*牧野和漢薬草大図鑑

2013年5月25日土曜日

宮城県庁前のクレノユキツツジ


 宮城県庁前のバス停付近で撮影しました。植え込みの一面の白色が見事です。植物を表示してある掲示板には、クレノユキツツジと書かれていました。
 クレノユキツツジは、クルメツツジの園芸品種のひとつと思われます。
 Web上の園芸サイトによれば、クルメツツジは、先日ご紹介したキリシマツツジ系統の園芸品種です。江戸時代に久留米地方で作られたためにその名がついたといわれています。クルメツツジは小輪多花性で、開花期には樹冠全体が花に覆われるように咲きます。花色は豊富で、紫紅、桃、白、紅、紫など多彩です。庭木として広く利用されますが、鉢植えにも好適な種類です。欧米でも庭木として広く栽植されています。
 キリシマツツジ(学名:Rhododendron × obtusum )は、別名キリシマ、ホンキリシマ、サタツツジなどともいわれます。九州に自生するヤマツツジ(山躑躅)とミヤマキリシマ(深山霧島)との交配種で、 江戸時代の寛永年間(1624~1644)に、薩摩で作出されたと言われています。たくさんの園芸品種があります。

2013年5月22日水曜日

道端の薬草(2)オニタビラコ?


2013年5月14日 仙台市西公園 撮影者:阿部俊暢

 西公園で撮影しました。タンポポに似たその葉と、大きさよりオニタビラコだと思います。オニタビラコ(鬼田平子、学名: Youngia japonica)は、キク科オニタビラコ属の越年草で、道端や庭に自生しているいわゆる雑草です。日本、台湾、中国、インド、ヒマラヤ、オーストラリアに分布しています。
 葉は地面近くに集中し、ロゼット状についており、長さ8 - 25cm。タンポポに似ていますが、先端の小葉が丸っこく三角で大きいのが特徴です。茎の上部が枝分かれして複散房状に分枝し、多数の黄色の花を咲かせます。
 和名の「オニタビラコ(鬼田平子)」は、「大柄なタビラコ」の意味だと思われます。タビラコは一般にコオニタビラコのこを指します。コオニタビラコは春の七草の「ほとけのざ」のことです。コオニタビラコは食用にされ、おひたしやあえものにされます。
 牧野和漢薬草大図鑑には、全草が黄鵪菜<オウアンサイ>という名で記載されています。使用法、薬効、については以下のように記載されています。
 ”真夏以外はいつでも採取でき、生のまま用いるか、日干しにする。解熱、解毒、消腫、止痛作用があり、薬疹や食中毒による感冒、乳腺炎、リウマチ性の関節炎に有効である。また、アレルギー性の喘息にも効果がある。”

参考資料
*牧野和漢薬草大図鑑 


2013年5月18日土曜日

道端の薬草(1)ヘビイチゴ?

2013年5月14日 撮影場所:仙台市西公園 撮影者 阿部俊暢

 仙台市西公園で撮影しました。ヘビイチゴだと思います。
 ヘビイチゴ(蛇苺、学名:Potentilla hebiichigo)は、バラ科キジムロ属の多年草です。語源についてはヘビが食べるイチゴ、イチゴを食べに来る小動物をヘビが狙うことからなど諸説あります。毒があるという俗説がありますが、無毒です。以前はヘビイチゴ属に分類されDuchesnea chrysanthaと呼ばれていたため、多くの文献にはまだその名で記載されています。
 畦道や野原などに自生し、日本全土に広く分布しています初夏より葉のわきから顔を出すように黄色い花を付けます。。花期は4月から6月です。果実は表面に粒粒のある赤色で球形、イチゴに多少似たものがなります。毒は含まれていませんが、あまり味が無いため食用としては好まれなません。 
 牧野和漢薬草大図鑑には、全草が<蛇苺(ジャバイ)>の名で掲載されています。”解熱、通経、咳止めなどに用いる”と記載されています。使用はあまり一般的ではないようです。
 中国では、<蛇苺(ジャバイ)>は近縁種のヤブヘビイチゴ(Duchesnea indica)を指します。日本でも関東以西に自生していますが、ヘビイチゴより大型なのが特徴です。こちらは広く使用されているようです。牧野和漢薬草大図鑑には、”解熱、通経、黄疸をなおす。またのどの痛みなどにもうがい薬として外用する。現代の中国では、単味あるいは他の生薬と配合して、各種癌の用いているという。”と記載されています。
 ネット上にも癌治療に使用されているとの記載があります。エキスの特許も出願されています。
                           記 阿部俊暢 


2013年5月15日水曜日

新緑の定禅寺通り(1) キリシマツツジ?

仙台市勾当台公園 撮影者 阿部俊暢
勾当台公園には何種類かのツツジが植えられていて、新緑のこの季節次々に花を咲かせます。写真はキリシマツツジだと思われます。花が小振りなのが特徴です。
 キリシマツツジ(学名:Rhododendron × obtusum )は、別名キリシマ、ホンキリシマ、サタツツジなどともいわれます。九州に自生するヤマツツジ(山躑躅)とミヤマキリシマ(深山霧島)との交配種で、 江戸時代の寛永年間(1624~1644)に、薩摩で作出されたと言われています。たくさんの園芸品種があります。

2013年5月11日土曜日

仙台市西公園の春(4) カラスノエンドウ?

撮影場所:仙台市西公園、2013年4月29日 撮影者:阿部俊暢

 西公園で撮影しました。カラスノエンドウだと思います。本州から四国・九州・沖縄の路傍や堤防などのいたるところにごく普通に生育している雑草ですが、よく見るとなかなか味のある花です。
 カラスノエンドウ(Vicia sativa subsp. nigra)は、マメ科ソラマメ属の越年草です。ヤハズエンドウが植物学的局面では標準的に用いられる和名ですが、カラスノエンドウという名が一般には定着しています。
 秋に発芽し、春になると高さ60 - 150cmに達します。花期は3 - 6月でエンドウに似た小型の紅紫色の花を付けます。
 野草料理の食材として使用可能なようで、ネット上には、若芽や、若い豆果、熟した豆を使ったレシピが見られます。カラスノエンドウ茶はネット通販で購入もできます。
 薬草としても使用されてきた歴史があり、牧野和漢薬草大図鑑には、以下のように記載されています。
 使用部位:全草および種子(ギョウヨウ)。
 薬効と薬理:黄疸、浮腫、マラリア、鼻出血、月経不順を治す作用があり、また浮腫にも用いられ、1.5〜3gを煎じて服用する。

2013年5月8日水曜日

勾当台公園の新緑 谷風像とヨドガワツツジ


 宮城県庁前の勾当台公園で撮影しました。新緑の中にツツジの花が満開です。
 銅像は江戸時代の大相撲の大横綱”谷風梶之助”です。谷風 梶之助(たにかぜ かじのすけ、1750年9月8日 - 1795年2月27日)は、仙台藩・陸奥国宮城郡霞目村(現・宮城県仙台市若林区霞目)出身で、江戸時代の伝説の大横綱です。
 ツツジはヨドガワツツジと思われます。

ヨドガワツツジ(学名:Rhododendron yedoense var. yedoense:別名:ボタンツツジ(牡丹躑躅)は、チョウセンヤマツツジ(朝鮮山躑躅)の雄しべが弁化して八重咲きとなったものです。古くから栽培されていて,朝鮮には自生しているそうです。勾当台公園には何本も植えられてこの季節は鮮やかなピンクの花が見事です。


2013年5月4日土曜日

仙台市西公園の春(3)オオイヌノフグリ

オオイヌノフグリ 仙台市西公園 2013年4月29日 阿部俊暢
西公園で撮影しました。公園の脇の草むらに群生していました。

 オオイヌノフグリ(学名 Veronica persica)はゴマノハグサ科クワガタソウ属の越年草、路傍や畑の畦道などに見られる雑草です。ヨーロッパ原産で、アジア(日本を含む)、北アメリカ、南アメリカ、オセアニア、アフリカに外来種(帰化植物)として定着しています。日本では全国に広がっていますが、最初に確認されたのはのは1887年の東京であるといわれています。
 早春にコバルトブルーの花をつけます。普通はあまり気に留めることもありませんが、よく見ると非常に可憐で美しい花です。
 クワガタソウ(Veronica:ベロニカ)属の植物は、主に青い花の咲く多年草、灌木約250種類が、ヨーロッパ、北米、アジアの温帯地域に分布しています。ヨーロッパでは園芸用としてさまざまな種類が利用されています。スピードウエル(ベロニカ)は中世ヨーロッパでは一般的な治療用ハーブでした。

参考資料
* 英国王立園芸協会 ハーブ大百科

2013年5月1日水曜日

定禅寺通りの春(5) ミツバツツジ?


勾当台公園 2013年4月17日 撮影:阿部俊暢

ミツバツツジ?の1種だと思います。勾当台公園で撮影しました。何本か植えられており満開で見事です。
 ミツバツツジ(学名:Rhododendron dilatatum)はツツジ科ツツジ属の落葉低木です。また、近縁のミツバツツジ類の総称です。ミツバツツジ類は、4-5月頃に紅紫色の花が咲きます。花が終わってから葉が出て、枝先に三枚の葉がつくことからこの名がついたといわれています。 関東地方から近畿地方東部の太平洋側に分布し、主にやせた尾根や岩場、里山の雑木林などに生育していると、ネットにはあります。
 ミツバツツジはの変種が多く、トサノミツバツツジ、ハヤトミツバツツジ、ヒダカミツバツツジなどがあります。その他、ミツバツツジと名がつく日本に自生するその他のツツジ類には、トウゴクミツバツツジやサイコクミツバツツジ、コバノミツバツツジ、ダイセンミツバツツジ、ユキグニミツバツツジ、キヨスミミツバツツジなどがあります。ミツバツツジは関東以北に生育するとありますので、近縁種のトウゴクミツバツツジかもしれません。トウゴクミツバツツジはよくご紹介する青葉山の東北大学植物園でもたくさんみられます。
 庭先などでもよく見る事ができますが、盗掘などにより野生の個体数はけっして多くないとの記述があります。

 ツツジ属の植物には毒性もつものが知られていますが、日本に自生しているツツジ属の植物ではレンゲツツジ(Rhododendron japonicumn)1種だけのようです。その他のツツジの毒性についての資料は見つけることがレンゲツツジはまた薬用としても利用されている歴史があり、牧野和漢薬草大図鑑にも記載されています。
 ツツジの花を上手に採ると花片の下から蜜を吸うことができ、昔は子供の遊びでしたが、レンゲツツジには致死性になりうる毒があり、庭木としても利用されることもあるので注意しなければなりません。

参考資料
*フリー百科事典ウイキペデイア日本語版
*牧野和漢薬草大図鑑
*木のメモ帳Web